■講演の報告
「日本の公共事業のあり方と国土づくりを考える」
森田 実(政治評論家・叶X田総合研究所主宰)
森田氏は、まずモンテスキュー『法の精神』の中に書かれている「法は風土を超えることができない」という内容を引用し、「自由主義も共産主義も、どこの国でも通用すると唱えていた。しかし、それぞれの国にはそれぞれの風土があり、日本には日本に馴染む法体系がある」と指摘。アングロサクソン型の市場経済に転換したことが、日本の大きな誤りであったと述べた。
また、小泉内閣の構造改革に触れ、「小泉構造改革路線の中止を宣言しない限り、すべてを失ってしまう」と危機感を表し、財政再建の結果、200兆円もの借金を抱えてしまったことに対して、誰も責任をとるけじめがつけられていないことを糾弾した。
さらに公共事業必要論を説き、「公共事業は、マスコミがつくり出した偏見によって一般住民の支持を得ることが難しいとされているが、一般住民を巻き込んで、その土地で何をやるかを議論し、合意が形成されている地域もある」と述べ、思いきった政策の転換をして東京一極集中の構造をやめて地域活性化を行い、官と民の調和をはかることが、日本がグローバリズムの中で生き残る活路であると主張。今後の政治方策として、イデオロギーによって政治を支配するのではなく、現実的な判断能力とヒューマニズムでもって対処していかなければならないと述べた。